遠い昔からの物語
わたしがまだ女学校に通っていた頃、出征する兵隊さんに純潔を捧げたら、その人は必ず生きて還ってくる、という迷信がまことしやかに流れていた。
時々、隣の組の誰々が、戦地に赴く幼なじみにとうとう捧げたらしい、といったような噂が女学生の間で飛び交っていた。
だけど、だれも、そのようなことをすればなぜ兵隊さんが生還できるのか、さっぱりわかっていなかった。
だからわたしは、男の人は勝手だから、なにも知らないわたしたちを、自分たちの都合でいいようにしていると、ずっと思っていた。