遠い昔からの物語

やがて彼は、わたしの首筋から鎖骨へとくちびるを滑らせていった。

シュミーズの左右の肩紐が、勢いよく下げられる。

灯火管制による薄暗い電球の下で、ちっちゃな二つの乳房があらわれた。

背だけがひょろりと高いわたしは、食糧事情の所為で、あばら骨が透けるくらい痩せている。

だけど彼だって、五尺八寸ほど上背があるのに、肋骨が浮き出ていたので、お互いさまだった。

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