遠い昔からの物語

やがて、寬仁はわたしの胎内(なか)に、すべてを吐き出した。

すっかり全身の力が抜けた彼が、大きな身体(からだ)でわたしを包み込む。

そして、哀しい目で、静かに呟いた。

「……安藝子(あきこ)を残して、()きたくない……」

< 223 / 230 >

この作品をシェア

pagetop