遠い昔からの物語

「どしたんじゃ。()って顔を見してくれや」

わたしは顔を上げた。目には涙があふれんばかりになっていた。

「よう泣くおなごじゃのう……」

義彦さんは困ったような笑みを浮かべた。

夕べまでのように、すぐにまた、わたしのことを優しく抱きしめてくれると思った。


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*のって ー (あお)いで ・(背筋を)伸ばして
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