遠い昔からの物語

嫁入り前の娘がたった一人で汽車に乗り、婚約者とは云え男に会いに行くなんて、世間が聞いたらなんと云うかしれないから、てっきり反対するものと思っていたら、

「顔見せてくりゃあえぇわ。中尉殿は、お国のために日夜、命()すけとるんじゃけぇ」

と云って、父はあっさりと許可を出した。

わたしのような立場の女が他にもいて、夜は彼女たちと一緒に休む部屋が用意されていると書き添えてあったため、それなら案ずることはないと判断したようだ。


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*のすける ー 乗せる・渡す
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