遠い昔からの物語

おれは身を屈めて顔を近づけ、廣子のくちびるにそっと唇を重ねた。

背伸びをした廣子が、おれの首に腕を回す。

おれは廣子のくちびるの隙間から舌を差し入れた。夕べ初めて味わった、なめらかな廣子の舌を探る。

廣子の頬から手をずらし、首筋を撫でた。

廣子がくすぐったそうに、身をよじる。

さらに手をずらし、ブラウスの上から胸をまさぐった。

おれに塞がれたくちびるの端から、廣子の声が漏れる。

華奢で抱きしめれば折れそうな身体(からだ)の廣子なのに、乳房だけが豊かに実っているのには驚いた。
着物だと目立たないが、ブラウスだとその盛り上がりがよくわかった。

朝飯のとき、神谷が廣子の胸元をちらちら見ていた。

それに気づいた奴の薫子(エンゲ)が、凄い目で奴を睨みつけていた。

部屋に戻った今、一悶着なければよいが……

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