遠い昔からの物語

そのとき、(ふすま)の向こうで物音がした。
話し声もする。

おれは嫌な予感がしたので上体を起こし、廣子のブラウスの胸元をパッと戻して、立ち上がった。

そして、乱れた自分の白縞の前をすばやく整えた直後、豪快に襖が開いた。

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