遠い昔からの物語
今度はおまえの番だ。
顔を上げたおれは、廣子の顔の前に屹立したものを突き出す。
少し元気を失っていたので、二、三回手でしごくと、上から糸で吊ったような勢いが戻ってきた。
廣子はびっくりして目を見開き、それから慌てて顔を背けた。
「……廣子」
おれは名を呼んだ。
廣子はびくっとして、顔を戻した。
「……われも、わしんように……してくれんか」
廣子の頬を優しく撫でながら、おれは頼んだ。