遠い昔からの物語

おれは指を引き抜いた。

その代わりのもの(・・)を押しあてた。

昨夜の痛みを思い出したのか、廣子の顔が(かす)かに強張(こわば)る。

おれはその緊張を解くために、軽く、くちづけをした。

それから、一気に差し込んだ。

廣子は身を()け反らせた。

「……()しるんか……」

おれは荒い息で、もう一度、訊いた。

廣子は首をぶんぶんと振り、

「……()しらん……うち、もう……いっこも……()しらん…けぇ……」

荒い息でそう答えて、おれを見つめた。

「……あんたぁの……えぇように……うちを……可愛がって……」

女の悦びを知り始めたその濡れた目は、ぞくっとするほどの艶っぽさを漂わせていた。


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*はしる ー 電気が走ったような鋭い痛み
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