遠い昔からの物語

おれは唇で廣子の涙を吸い取った。

「うち……もう……あんたぁ……のうては……生きれん…けぇ……」

廣子がそうつぶやいたあと、おれのもの(・・)がきゅううぅーっと締めつけられた。

「……くぅ……っ」

おれはそれに抗うように、もっと強く、突き上げた。

「先」が壁のようなものにあたった。

その刹那、胎内(なか)が激しくうねり、廣子が今までの比ではないほど強く、ぎゅううぅーっと、おれのもの(・・)を締めつける。

特に「根元」へ締めつけが、尋常ではない。

「……ぅぐ……っ」

おれの全身の力が一気に抜けた。

同時に、まるで身体(からだ)中のすべての血をおまえに託すかのように、おれはおまえの内側に向かって精を放った。

< 88 / 230 >

この作品をシェア

pagetop