遠い昔からの物語

おれは、抱きしめた廣子の背中をさすりながら、傍らに立つ桜の木を見上げた。

(みぞ)の脇に続く桜並木は、春になればきっと見事な花が咲く、桜の花道になることだろう。

その頃にまた、廣子と一緒にここへ来て眺めたいものだ。

そのとき、ふと思った。


……わしゃ、その桜を見れるんじゃろうか。

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