*Dear……*~ハイスペック男子と甘いLove Storyを~
全て偽りの言葉。

それでも嬉しい……

きっと類に言われるより嬉しい。

そう感じる私は、なんて哀しい

女だろう……

世界一花嫁から遠い女かもね。


「嘘じゃない。本当に見たいんだ。

美愛の純白のドレス姿もカラーも

白無垢も色打掛も全部見たい。

何より至福の笑みを……誰よりも

輝き溢れる笑顔を……」


先輩は、真っ直ぐ私を見つめながら、

とてつもなく優しい声で心を込めて

伝えてくれた。

……私は、見たくない。

先輩が、タキシード姿で新婦に向け

る限りなく誇らしげな笑みも誓いの

キスも。

だから忘れよう……

あの夜と同じく、シンデレラタイム

終了と共に、もう一度心の扉を

しっかり閉めて施錠する。

だから大丈夫……

後半日だけ夢を見よう。
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