＊Dear……＊～ハイスペック男子と甘いLove Storyを～

｢その溜め息、明らかに素敵なラブストーリーしてないってわかる。……いいの？ きっと毎日、彼との見えない未来に溜め息付いてるんだろ？｣


先輩の口調からも溜め息が漏れてきそう。

それは、私を心配してくれているから。

昨夜から何度目かの釘差しに何も答えることが出来ない。

見えない未来か……。

いつまでかな？

私の未来は、類と共にある…… そう信じて止まなかったのは。


｢いつでも話聞くよ。……連絡待ってるから遠慮しないで。少なくとも十五日はいるから。休暇兼ねてるんだ｣


先輩は、荷物を下ろしている堀さんらに聞こえないよう小声で言うと先に社内へ入って行った。

その広い背中をじっと見つめていると、今すぐその背中に頬を寄せてしまいたい…… そんな出来もしない衝動に駆られながら、ゆっくりと自動ドアの先へ足を踏み出す。

勇気を持って踏み出せば、幸せな未来がこの扉のように簡単に開くといいのに……。