*Dear……*~ハイスペック男子と甘いLove Storyを~
炎の消えた瞳の中には、冷たい雨が降り注ぎ始めていた。

今すぐ寄り添い傘をさしかけられたなら、心も寄り添い合える?

私は、思いきって左手を伸ばそうとするけれど、先輩の視線の先にある物に気付き伸ばすことが出来ない。

それは、私の頭上の棚に置かれた黒アイアンのオシャレなフォトフレーム。

まだ幸せだった頃の類との写真。

私は、とっさに布団の中に隠したい衝動に駆られるが、先輩の切なげな目を伏せて立ち上がる姿に凍り付いたように動けでないでいた。


「先輩!」


その代わりに悲痛な声で先輩を呼び止める。
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