*Dear……*~ハイスペック男子と甘いLove Storyを~
黙って振り返った瞳の中で、静かに降り注ぐ哀しい雨を真っ直ぐに見上げると、この目からも哀しみの雨が流れ落ちる。


「……何?」


私の為に哀しい雨を無理矢理優しい雨に変えようと微笑む姿が、切なくて堪らない。


「……頭上のフォトフレーム……伏せてもらえませんか?」


「…………もう倒した」


先輩は、目を見開き驚いた顔を見せた後、落ち着いた口振りでそう告げた。

その瞳の中の雨はすっかり上がり、唇には柔らかな三日月が浮かんでいる。
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