*Dear……*~ハイスペック男子と甘いLove Storyを~
課長の心からの謝罪、もしくは言いたいこと言い終えたからなのか、先輩の顔付きと声は穏やかさを取り戻していて、ホッとする。


「副社長でもそんなことあるんですか?」


「ありますよ、勿論。恥ずかしいけど恋愛経験少ないながら。……恋愛ほど厄介なもんはないって本気で思ってますよ」


先輩は、極一部の親しい人以外には敬語で接するのが基本だ。いつもの落ち着き払った姿に、心底ホッとしたいところだが、今尚私をチラ見さえしない先輩に、私の顔は凍り付いたまま。不安から胃がどうにかなりそうで、自然とお腹に手を当てる。


「信じられないです。副社長ならハリウッド女優ゲットしても不思議じゃないよな? ……大丈夫か?」


そんな私に気付いた課長は、優しく背中に手を当て心配そうに覗き込んでくる。
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