*Dear……*~ハイスペック男子と甘いLove Storyを~
「何でって言われても……」


私の問いに、先輩は考え込むように黙り込む。

そう……冷静になれば何で私?

先輩なら幾らでも世界各国のハイレベルな女性ゲット出来るのに。

幾ら強がってみても明日なんて急すぎて、ニューヨークなんて遠すぎて不安だけじゃなく、寂しさや嫉妬や悲しみ、胸の奥に押し込んだ様々な想いが、一気に炙り出されてきた。

先輩は、そんな不安に押し潰されそうな私の後頭部に手を当てそっと私を仰がせると、少し困った顔で微笑んだ。


「ごめん……早速不安にさせて」


私は、その儚げな笑みで覆い隠した痛みを感じ取り、泣きたい気分になる。
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