*Dear……*~ハイスペック男子と甘いLove Storyを~
また皆の視線を一心に浴びながら歩き出した時、私は目を瞑り身を預けてお姫様抱っこされる喜びに浸った。

なぜか不思議なくらい恥ずかしさは消え去り、むしろこの腕の中にいられることに誇らしさを感じる。

そんな自分に驚きながらも幸せ一色の時に身を預け、伝えたくて堪らなかった想いが極自然と零れ落ちてくる。


「大好き……世界一大好き」


「……俺もだよ。美愛を世界一……」


世界一……何?

至近距離から上目遣いで見つめると、ふと甘く微笑み耳元に唇を寄せてくる。


「そんな目で見つめられると……今すぐ欲しくなる」


直後リップ音が落とされ、この頬は紅色に染められる。

私は、目眩がしそうなほど愛しい香りと温もりに包まれながら首元に顔をうずめ、ずっと胸にとどめていた想いを心を込めて再び届けた。

同時に泣きたくなる。

やっと……やっと言えた。

初めて『大好き』って伝えられた。

なんだろう……

まるで悲願を達成したような気分。

先輩と出逢ってから、胸の中で何度この言葉を唱えてきただろう……?

数年途切れてはいても、あの頃の想いに負けず劣らず……ううん、あの頃よりきっとずっと強く輝き溢れていると感じるのは、今こんなにも近くに先輩が居るからだろう。

先輩の私への愛の光が、私の想いを何倍にも強く輝き溢れさせているに違いない。
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