意地悪な彼ととろ甘オフィス
先輩もいうように、たしかに私の生理痛は毎回重い。
といっても、他のひとと比べられないから判断が難しいけれど、軽くはないと思う。
一日目から四日目くらいまでは食欲が湧かなくてスープだけで過ごしたり、高校の頃は貧血でしゃがみ込むなんてことが日常だった。
『なにやってんの』
そのたびに、成瀬さんがおぶって保健室まで連れて行ってくれたのが懐かしい。
そういう時に、なぜか必ず成瀬さんは現れるから不思議だ。
私のことがうっとうしいくせに、本当は優しい成瀬さんは放っておけなかったんだろう。
……まったく。罪な男だ。
そして、そのたびにいちいち期待してしまう私も、馬鹿な女なんだろう。
「ほら、私のひざ掛けも使いな。冷やすと余計痛むでしょ」
青い顔する私を気にした須永先輩が、いつも自分で使っているひざ掛けを渡してくれる。
「ありがとうございます。……優しい先輩をもって救われてます」
「よせやい」
ハハッと笑う先輩の優しさを素直に受け取り、自分のと先輩の、二枚のひざ掛けを腿の上からかける。
それでも、痛みや気だるさ、気分の落ち込みはどうにもならなくて、今日はなるべく早く帰ろうと心に決め、仕事に取り組んだ。