意地悪な彼ととろ甘オフィス
「俺のこと好きだって言ってくれないの? さっき店では熱烈な告白してくれたじゃん」
ぐっと手を引かれ、顔が近づく。
鼻先が触れ、せっかく酔いから醒めてきたっていうのに、今度は混乱で頭の中が散らばる。
「き、聞いてたならそれで……」
「ダメ。何年片想いしてきたと思ってんだよ。直接、目を見て言ってくれないと気が収まらない」
じりじりと近づかれ、追い詰められる。
吐息がぶつかりギュッと目をつぶると、響哉くんがふっと笑ったのがわかった。
「まぁ、好きだなんて言われたらもっと収まらないけど」
途端、唇が重なる。
私だって大人だ。キスの経験くらいあるのに、まるでファーストキスみたいだった。
ドキドキして、でも嬉しさもあって……気持ちが通じたことを実感し、感動が湧きあがる。
数秒くっついていた唇が離れそっと目を開けようとしたところで、響哉くんの手が私の頬に触れた。
そして、親指で私の唇に触れるとそのまま下唇を押し、口を開けさせ――。
「え、や、待っ……ん……っ」
口を開けた響哉くんが顔を傾けて近づいてきた瞬間、なにをされるのかがわかって止める。
けれど、私の制止の言葉を聞いてくれない響哉くんはそのまま口ごと食べちゃうみたいにキスをして、舌を重ねる。
触れた舌に驚いて引っ込めると、それをとがめられるように捕まり甘噛みされる。
「ふ、ぅ……」
呼吸まで奪うようなキスに、響哉くんの胸をどんどんと叩く。
すると、わずかに唇を離し酸素を取り込む時間をくれたけれど、名残惜しそうに唇を舐めてきた舌がすぐにまた咥内に入り込んでくる。