お見合いさせられました!
私の意識が現実に戻る。

目の前にはエリート男子、五十嵐さん。
五十嵐さんの隣には、ニコニコ顔のご両親。


「身を固める素振りなんて全然なかった息子が、急にお見合いするなんて言ったんで、もう嬉しくって~」

はぁ、そうですか。
エリート男子のお嫁さんになりたいっていう女の子は、いっぱいいるんじゃないでしょうかね~。

でも、大変おそれ多いのですが、私は違いますよ~。


私は隣にいる両親を思いっきり睨みつけた。

まさか騙されて、お見合いさせられるなんて!

酷すぎる!
あり得ない!
絶対あり得ないよ!


エリート男子と、そのご両親には申し訳ないけど、ここは全力否定!
そして、早くこの場を立ち去ろう!


「あの!私はお見合いだなんて、聞いてません!!親から今日はホテルでランチって聞いて、ここに来ました。そもそも私は結婚願望はありません。ですから、お見合いするつもりはありません」

言った!
よく言った!
上出来だよ!

よしっ!
あとは、ここを出るだけ。

ランチを食べずに出るのはすごーく心残りだけど、仕方がない。


私がぺこっとお辞儀をしたと同時に、エリート男子の笑い声が個室に響いた。


「あはははは!」

すごい爆笑してるんだけど、大丈夫?

もしかして、お見合い断られるなんて思ってなくて、ショックのあまりに壊れちゃったとか?
そりゃそうだよね。
これだけのエリート男子なら、女の子は引く手あまたで寄ってきそうだし、選り取りみどりなのかもしれない。

それが、アラサー女子の冴えない私に断られるなんて、想像もしてなかったよね。



< 13 / 49 >

この作品をシェア

pagetop