お見合いさせられました!
「本気なんですか?」

だって疑わずにはいられないよ。
こんなエリート男子が冴えない私のこと好きだなんて。


「本気」


「私、結婚願望ゼロなんですってば!」


「却下」

堂々巡り。
埒があかない。

どうすれば諦めてくれる?

私はうーんっと唸る。

五十嵐さんの目が私に本気だと伝えてくる。


「とりあえず今日はもう時間がない。明日アメリカに戻るから、空港に来い。続きは明日」

さらっとコースターの裏に便名と時間を書いて、私に渡した。


「じゃあ明日、奏美」

最後、私の名前を呼び捨てにして、伝票を持って行ってしまった。

私はしばらくぼーっとコースターを眺めていた。
彼の書いた字が思いのほかにキレイで、見とれてしまう。

名前を呼び捨てにされて、くすぐったく感じてしまう。

わざわざこのためにアメリカから一時帰国したと言っていた。

私のことを好きな女だと言う。

お見合いの話を進めると言う。


相手は極上のエリート男子、五十嵐颯介。

親に騙されて、お見合いさせられてしまった冴えない私、早川奏美の人生が大きく変わろうとしている。




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