お見合いさせられました!
「2年くらい前かな」

五十嵐さんは遠くを見ながら、懐かしそうに話し始めた。


「急遽日本から製品を送ってもらうことになって。で、普通は製品だけぽーんって送られてくるって思ってたら、書類が一緒に入ってた。その製品がどんなふうに使われているか、それから現場の意見も書かれてた。その書類、事務の女の子が用意したって聞いて、俺らの間でちょっとした話題になった」

あれ?
なんか、それ、覚えがあるような…。
私は頭の中で過去の記憶を呼び起こす。


「設計・開発する者にとって、現場の声が聞けるって大事なことなんだよ」

そういえば、ちょうどその頃先輩と別れて、仕事に生きていた私は、ただがむしゃらに働いていたっけ。
それまで言われたことしか仕事してなかったけど、製品について勉強したり、視野が広がったぶん、プラスアルファを考えて仕事するようになったんだっけ。


「俺は会ったこともない、その女の子に興味を持った。東航JPの同期にそれとなく聞いたりして。そしたらある日、結婚願望ゼロって宣言してるって情報が届いた」

えー!!
そんな前から私のこと知ってたなんて、びっくり…。
そんな情報がアメリカにいる五十嵐さんに届いてるなんて、なんだか恥ずかしい。
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