お見合いさせられました!
「なるほど。奏美の肌つやがいいのは、そういうことね」


「ノーコメントでお願いします」

これ以上は墓穴を掘りそうで怖い。

重い足取りで自分のデスクに向かう間、いくつもの視線が突き刺さる。

興味津々でウズウズしている同僚たちをよそに、私は無言を貫き仕事に取りかかる。


「奏美」

仕事に集中しようとしていた私の身体が固まる。
ギギギギと音がしそうなくらい、ゆっくり振り返ると、案の定そこには愛ちゃん曰く王子様がいる。


「仕事中ですけど?」


「ちょっと」

またしても五十嵐さんに引っ張られて廊下に出る。
このシチュエーションは何度目だろうか。


「身体、大丈夫か?」


「!?」

急に立ち止まった五十嵐さんに耳元で囁かれて身体が跳ねた。
この人、会社で何を言い出すんだ!?


「だいぶ無理をさせたからな」


「だ、大丈夫、です……」

本音を言えば、いろいろと大丈夫ではないけれど。

五十嵐さんが近くにいると、週末のアレコレを思い出してしまい、顔が熱くなる。
私の身体が気怠いのは、つまり週末に五十嵐さんといたしてしまったわけで。
しかも、私が気を失うように眠りに落ちるまで、五十嵐さんに抱き締められていた。



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