ライアーピース
陸は他の男子同様、
私を男友達のように接してくれた。
「だから、違うって!
そんなんじゃクリアできないよ」
「はあ?二宮の言うとおりにして
さっき間違っただろ?」
「さ、さっきはさっきでしょうが!」
こうしてゲームなんかして、
くだらない会話を続けるのが、
今ではとても嬉しい。
でもそれでも・・・。
「陸~何しとんの?」
「唯!みんなでゲームしてたんだけど、
何か用?」
「ちょっと顔見にきただけやで。
陸に会いたくてさ」
唯が教室に入ってくると、
陸は嬉しそうな顔をみせた。
唯は毎度毎度、休み時間になっては
陸のところへと遊びに来る。
そうすると、さっきまで
楽しかったのが一気に落ち込んでしまう。
ズキズキ痛む胸を抑えながら、
私はただ見ていることしかできなかった。
「じゃ、またお昼にね」
唯はそう言うと教室を出て行った。
「陸・・・幸せ?」
「ん?」
私はふとそんな問いかけをした。
自分でもよく分からない。
だけど、聞きたかったの。
「唯といられて、幸せ?」
「・・・うーん、まあ、幸せだな」
「そっか・・・」
私は要らない?
唯がいれば幸せ?
私は、全然幸せじゃないよ。
陸が唯を見る横顔を見つめていると、
胸の奥がギュウッてなって抑えられないよ。
✲
お昼休みになり、
陸が教室を出て行った。
きっとF組の教室に行くんだろう。
私は由紀乃に断りを入れて、
屋上へ向かった。
重い扉を開けると、
私の視界に驚きの光景が映し出された。
「陸・・・・」
そこには、深いキスをしている
陸と唯の姿があった。