フェイク アフェア ~UMAの姫と御曹司~

6-2

元林さんの別荘からの帰り道、パーティーで私が逃げ出した後の話を聞いた。

修一郎さんは片岡さんと決着をつけなければいけないと思っていたところに彼女が現れたから、あちらに言いたいことを言わせてからやり込めるつもりだったのだと言った。

想定外だったのは、昂輝さんの登場と私が逃げ出してしまったこと。

片岡さんが昂輝さんの事を私の元婚約者と知り、長いこと雲隠れしていた私に会わせてあげると言って誘い出したらしく、昂輝さんは片岡さんが修一郎さんに片思いしていることも、私のストーカー事件のことも何も知らなかったのだという。

私が逃げ出した後、片岡さんの酷い言い方に激しく反応したのは昂輝さんだった。

「君は一体何様なんだ。俺とノエルは恋愛関係にあったわけじゃない。俺たちは兄妹みたいに育って、正式な婚約だってしていたわけでもない。
高校生が気軽に結婚を決められるはずないだろう。ノエルは誰よりも純粋で綺麗だ。それをキズモノだって?
あんたのような汚れた女に侮辱するいわれはない。
あんたの過去は何も無かったのか?調べられて、公表されて困る過去はないのか?」

それは周りが止めに入る程だったという。

それでも、片岡さんは怒りに震え、さらに修一郎さんと結ばれるのは自分だと言い放ったことで修一郎さんの更なる怒りを買ってしまった。

「誰と誰が結ばれるって?俺にとって必要な女性はノエルだけだし、そこに社会的価値など関係はない。ノエルがどこの誰でもそんなことはどうでもいい。君はどう勘違いしたらノエルと自分を同列に並べられるんだ?
これ以上俺たちの邪魔をするのなら今まで君がしてきたことを公表させてもらうよ。
ずいぶんと汚い手を使っていろいろなことをしてきたそうだね。それよりも、自分の親のビジネスの方が最近うまくいってないらしいじゃないか。君も役員なんだろう?ここにいないできちんと仕事をしたらどうなのかな」

これには彼女も真っ青になり帰って行ったそうだ。


修一郎さんが片岡さんの父親と度々会っていたのも事実だったけれど、片岡さんの婚約話のはずもなく、ビジネスの話だったらしい。

片岡ジュエリーは放漫経営で傾いていたらしくIHARAグループのホテルや結婚式場など、全てが来季から片岡ジュエリーとの契約の更新をしないことが決まり、片岡社長が一方的に修一郎さんのもとに契約更新のお願いに来ていたということだった。

「俺がノエルを傷つけるようなやつを許すはずがない」

そう言ってはいるけれど、修一郎さんは罪のないあちらの社員が困るようなことはしない。
気っと何らかの手は打っているはずだと思う。


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