フェイク アフェア ~UMAの姫と御曹司~



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修一郎さんが空いていた副社長のポストに昇進し、お義兄さんはIHARAリゾート部門の経営をする会社の社長になった。
修一郎さんの後任秘書はお義兄さんが育てた男性社員がつき、私は私設秘書から契約社員へと立場が変わり秘書課に配属になって秘書室にもデスクをもらった。

今までとの大きな違いは一人で自由に社内を歩けることと直接私が海外事業部とのやり取りができるようになったことだろうか。


あちこちに顔を出すようになると自然と『UMAの姫』と呼ばれることはなくなった。
これだけ目撃されるとどうやらUMAではなくなったらしい。


「ノエルさーん、一緒にお昼に行きましょう。今日は副社長は夕方まで外ですよね」

向かいのデスクの松本さんから声がかかった。

「うん、そうなの。どこに行く?社食?外?」

「あ、私安くて美味しい定食屋さん見つけましたよ!古くてお客さんもおじさんだらけで、お洒落さは皆無ですけど、サバのみそ漬けとか魚フライ、豚の生姜焼きとかおすすめです。そこどうですか?」

隣のデスクで沙絵さんがおサイフを片手に立ち上がった。

「賛成」

常務秘書の坂本さんと合流して4人で沙絵さんおすすめの定食屋さんに向かった。


「ああ、ホントに美味しい」
「うん、このお浸しも味がしみ込んでる」
「今度は違うメニューにもチャレンジしたいわ」
「丼物も美味しそうですよ」

女性4人のランチタイム。
修一郎さんと時間が合わないときはこうして秘書室のメンバーがランチに誘ってくれる。

特にこの3人は年齢も近く話も合うのでとても楽しい。






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