フェイク アフェア ~UMAの姫と御曹司~
「絵瑠ちゃん、お知り合いなの?」

友加里先輩はわくわくしたような瞳で私を見るけれど、井原さんの登場に私の頭がついていかず、声が出ない。

「ええ、個人的な知り合いというかプライベートで」

固まった私の代わりに返事をしたのは井原さんだった。

井原さんのイケメンオーラ満載の笑顔に友加里先輩も朋美先輩も見とれているけれど、如月先生は井原さんを硬い表情で見ていた。

個人的とかプライベートとかこの人はどういう意味で言っているのか。

私と目が合うと井原さんはニヤリと笑った。

「すみません、5分だけ絵瑠さんをお借りします」
そう言って私の腕をとり、ぐいぐいと引っ張る。

私はあっという間に店の外に連れ出されてしまった。

「びっくりするほど強引ですね」
呆れて笑えてくる。

「そうかな。絵瑠さんがそうして欲しいって思ってたんじゃないかって感じたんだけど。違う?」

私の腕を離してニヤリと笑った。

「今一緒にいたのって、真人の主治医の如月先生だよね。彼、如月コーポレーションの息子でしょ」

私は息を飲んだ。

如月先生が如月コーポレーションの息子。
噂話で実家がお金持ちだと聞いていたけど、それは勝手に病院経営でもしているのかと思っていた。

「もしかして、知らなかった?」

私の様子に井原さんの方が戸惑ってしまったようだ。

「あ、ええ。あの、知りませんでした。如月コーポレーションってあの如月コーポレーションですよね」
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