フェイク アフェア ~UMAの姫と御曹司~
2-3
「修一郎さん、私これで大丈夫ですか?」
身支度が終わり修一郎さんに確認してもらう。
「ああ、ノエルは今夜も綺麗だ。誰にも見せたくない位だよ」
修一郎さんはまぶしそうに目を細めて私の頬にキスをしてくれた。
修一郎さんは私を気持ち良くしてくれる名人だ。
今夜はIHARAホテルグループのパーティーがあり、その場で専務の修一郎さんとANDOの娘の私との婚約が発表される。
同居して2週間。
修一郎さんは優しくて甘い、とにかく私に甘い。
朝の挨拶の「今朝もかわいいね」からはじまり、私が作る料理を食べては褒めてくれるし、お土産にスィーツを買ってきてくれたり。
日中も何度かスマホにメッセージが入る。
今週は婚約発表の準備があって、愛理さんやそのお母さまと一緒にいることが多くて、私のスマホが鳴る度に愛理さんがため息をついていた。
本来ならマナーモードにするべきなんだけど、修一郎さんから緊急事態があると困るからマナーモードにはしないように再三言われていたのだ。
「ノエルちゃん、修一郎の愛が重くてごめんね」
あきれ顔の愛理さんとお母さまに
「修一郎さんはとても責任感が強くてとても優しくて、かなりの心配症なんですね」
と返事をした。
私が帰宅した後に愛理さんとお母さまが大笑いしていたことは私は知らない。
それからすぐに控室に圭介がやって来た。
「エル、久しぶり。いよいよだな。頑張れよ」
「ケイ」
久しぶりのケイの笑顔にほっとする。やっぱりかなり緊張していたみたい。
「修一郎さん、ノエルをお願いします」
ケイが修一郎さんに向き直って頭を下げるから、私も慌てて隣で頭を下げた。
「わかってるよ。圭介君。大丈夫だ」
修一郎さんも立ち上がってケイの肩に手を置いた。
2人はすっかり意気投合しているらしく、業務提携の交渉も会社を代表してやりとりしているそうだ。