フェイク　アフェア　～UMAの姫と御曹司～
修一郎さんの話ではケイが修一郎さんの会社に現れると女子社員が浮き足立って会社の雰囲気が変わるらしい。

「圭介君はイケメン俳優以上にイケメンだからね」と言う修一郎さんの方がケイよりイケメンだと私は思うんだけど。

ふとケイのネクタイが歪んでいることに気が付き、さっとケイのネクタイに手を出した。

「これでよし」

ケイに微笑むとケイは困ったような顔をしていた。

「何？どうしたの？」

首をかしげる私にケイは「わからないならいい」と笑った。

はぁ？

困って振り返って修一郎さんを見ると修一郎さんも困ったような見たことにないような顔をしていた。
何なの、２人とも。

次に私が口を開く前にパーティーの開始を知らせるスタッフのノックでこの話は打ち切られた。

さぁ、いよいよ始まる。


もともとIHARAの専務の婚約発表のためのパーティーではない。
会社の新規開拓事業の成功を祝うパーティーで招待客も大半は社内の人間らしい。
話を聞いたときにはセレブパーティーじゃない事にかなりほっとしたのだけれど、今さらながら緊張してきた。

私は婚約発表の少し前に会場の中にいればいいらしい。
事前の打ち合わせのおかげで流れや動きはしっかりと頭に入っているけれど、私は修一郎さんやケイのようにこんな華やかな場に慣れていない。

「じゃ、俺は先に行くから。圭介君、ノエルをよろしく」と修一郎さんが立ち上がり、ドアに向かう。

修一郎さんは私より先に会場入りしなくてはいけない。
でも、急に足を止めて振り返り私を抱き締めた。

「ノエル、緊張してる？大丈夫だから」
私の不安に気が付いてくれたらしい。
抱き締められて、温かいいつもの修一郎さんの腕に少しほっとして「ん」と声が漏れてしまった。

「ノエルは圭介君と一緒に会場においで。後は何も心配いらないからね」
私の額に軽くキスをして、一気に顔が赤くなった私を残して修一郎さんは控室を出て行った。

ケイの前で恥ずかし過ぎる。


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