フェイク アフェア ~UMAの姫と御曹司~
さて、私もここから出なきゃ。
周りはすっかり水浸し。
便器の上に立ち上がり、隣の個室との仕切りの壁に手をかけてよいしょと伸び上がった所で、ちょうどトイレに入ってきた女性と目が合った。
「きゃー、安堂さんっ!一体何をっ」
変な所を見られてしまった。
えへへと曖昧に笑ってごまかそうとしたけど、もちろん誤魔化せるはずはなく・・・。
トイレに入って来たのは、秘書室の可愛らしい女子社員で先日ドイツ語の電話で困っていたの沙絵さんだった。
個室を乗り越えて上から出ようとしていた私を止めて、ドアを固定していた針金を外してくれたので、普通にドアから出ることが出来た。
「ご迷惑をおかけしました。どうもありがとう」
ホースのつながった水道の蛇口を閉めた。
沙絵さんにお礼を言って持っていたハンカチで顔を拭き、洗面台で髪を絞って専務室に戻ると、沙絵さんがすぐに専務室に追いかけてきてくれた。
手にはタオルと着替えのワンピースが。
「これ、使って下さい。着替えないと風邪をひいてしまいます。ワンピースは突然のパーティー対応に置いてあるものですから少し派手で申し訳ないですけど」
「ううん、ありがとうございます。助かります」
その後、秘書室の先輩から借りたというドライヤーと温かいコーヒーを持って来てくれた。
「あの、あれってかなり悪質な嫌がらせですよね。専務が出張でいないからって。ヒドいです。相手は誰なのか安堂さんはご存知なんですか?」
沙絵さんは泣きだしそうな顔をしていた。
私は黙って顔を横に振った。
「残念ながら全然わからないの。でも、今、ハイヒールが濡れている人が犯人よね」
と笑うと
「私、今から女子社員の足元を見てきます!」
と沙知絵さんが飛び出して行こうとするから慌てて引き止めた。
周りはすっかり水浸し。
便器の上に立ち上がり、隣の個室との仕切りの壁に手をかけてよいしょと伸び上がった所で、ちょうどトイレに入ってきた女性と目が合った。
「きゃー、安堂さんっ!一体何をっ」
変な所を見られてしまった。
えへへと曖昧に笑ってごまかそうとしたけど、もちろん誤魔化せるはずはなく・・・。
トイレに入って来たのは、秘書室の可愛らしい女子社員で先日ドイツ語の電話で困っていたの沙絵さんだった。
個室を乗り越えて上から出ようとしていた私を止めて、ドアを固定していた針金を外してくれたので、普通にドアから出ることが出来た。
「ご迷惑をおかけしました。どうもありがとう」
ホースのつながった水道の蛇口を閉めた。
沙絵さんにお礼を言って持っていたハンカチで顔を拭き、洗面台で髪を絞って専務室に戻ると、沙絵さんがすぐに専務室に追いかけてきてくれた。
手にはタオルと着替えのワンピースが。
「これ、使って下さい。着替えないと風邪をひいてしまいます。ワンピースは突然のパーティー対応に置いてあるものですから少し派手で申し訳ないですけど」
「ううん、ありがとうございます。助かります」
その後、秘書室の先輩から借りたというドライヤーと温かいコーヒーを持って来てくれた。
「あの、あれってかなり悪質な嫌がらせですよね。専務が出張でいないからって。ヒドいです。相手は誰なのか安堂さんはご存知なんですか?」
沙絵さんは泣きだしそうな顔をしていた。
私は黙って顔を横に振った。
「残念ながら全然わからないの。でも、今、ハイヒールが濡れている人が犯人よね」
と笑うと
「私、今から女子社員の足元を見てきます!」
と沙知絵さんが飛び出して行こうとするから慌てて引き止めた。