フェイク アフェア ~UMAの姫と御曹司~
せめて秘書室長に話すと言う沙絵さんを止めていると専務室の内線が鳴った。
「はい。専務室、安堂です」
内線は受付からで、バイク便で大至急の荷物が届いているから受付に取りに来て欲しいという。
普段なら佐々木さんが行くけれど、今日は私が行くべきだろう。
ここから受付に行く程度で何かあるとは思えない。
「はい、わかりました。伺います」
と返事をして沙絵さんに受付に行くと声をかけた。
沙絵さんが自分が行くと言ってくれたけど、この程度の事くらい私も自分でやりたい。
「せめてエレベーターホールまで付いていきます」と沙絵さんに言われて苦笑しながら付いてきてもらった。
二人で廊下に出ると、秘書室から出てきた他のスタッフに「あ、沙絵さん。室長が探してましたよ」と声をかけられた。
「ほら、沙絵さんはお仕事に戻ってね」と沙絵さんの背中を押して、私は「行ってきます」と手を振ってエレベーターホールに向かった。
エレベーターを待っていると
「ちょっといいかしら」
と今度はぐいっと左手を引っ張られてエレベーターの隣の非常階段に押し込まれた。
はぁ。またか。
今日は忙しい日だ。
顔を上げて真っ直ぐに相手を見つめる。
「何かご用ですか?樺山さん」
あの秘書室の目つきの鋭い秘書さんだ。美人でスタイルもいいのに、この目つきはいただけない。
もちろん修一郎さんの前ではいつもにこやかにしているんだろうけれど。
「あなた、邪魔なの。専務の側から離れてちょうだい。だいたい、政略結婚ならあなたじゃなくてもいいはずでしょ。あなたより私の方が相応しいわ」
樺山さんは私の左腕をつかんで離そうとしない。ちょっと痛い。
そのうち、私の左手からサッと薬指の指輪を抜き取った。
あっ!
完全に油断していた。
階段から突き落とされるかもしれないと警戒して身構えていたから、まさか指輪を盗られるとは思っていなくて抵抗できなかった。
「はい。専務室、安堂です」
内線は受付からで、バイク便で大至急の荷物が届いているから受付に取りに来て欲しいという。
普段なら佐々木さんが行くけれど、今日は私が行くべきだろう。
ここから受付に行く程度で何かあるとは思えない。
「はい、わかりました。伺います」
と返事をして沙絵さんに受付に行くと声をかけた。
沙絵さんが自分が行くと言ってくれたけど、この程度の事くらい私も自分でやりたい。
「せめてエレベーターホールまで付いていきます」と沙絵さんに言われて苦笑しながら付いてきてもらった。
二人で廊下に出ると、秘書室から出てきた他のスタッフに「あ、沙絵さん。室長が探してましたよ」と声をかけられた。
「ほら、沙絵さんはお仕事に戻ってね」と沙絵さんの背中を押して、私は「行ってきます」と手を振ってエレベーターホールに向かった。
エレベーターを待っていると
「ちょっといいかしら」
と今度はぐいっと左手を引っ張られてエレベーターの隣の非常階段に押し込まれた。
はぁ。またか。
今日は忙しい日だ。
顔を上げて真っ直ぐに相手を見つめる。
「何かご用ですか?樺山さん」
あの秘書室の目つきの鋭い秘書さんだ。美人でスタイルもいいのに、この目つきはいただけない。
もちろん修一郎さんの前ではいつもにこやかにしているんだろうけれど。
「あなた、邪魔なの。専務の側から離れてちょうだい。だいたい、政略結婚ならあなたじゃなくてもいいはずでしょ。あなたより私の方が相応しいわ」
樺山さんは私の左腕をつかんで離そうとしない。ちょっと痛い。
そのうち、私の左手からサッと薬指の指輪を抜き取った。
あっ!
完全に油断していた。
階段から突き落とされるかもしれないと警戒して身構えていたから、まさか指輪を盗られるとは思っていなくて抵抗できなかった。