フェイク アフェア ~UMAの姫と御曹司~
「ノエルは強いね」
はあっと今度は修一郎さんが息をついた。

「いいえ、強くはないですよ。それより、樺山さんはIHARAにとって大切な取引先の関係者ではないんですか?」

「あの女に関しては社長や常務が対応してくれているから、問題ない。義兄さんもいるし。
今まではあの女の父親との付き合いもあっていろいろと大目に見ていたけれど、もうそんな事を言ってる場合じゃないし、こんな事をしでかしておいてこのままで済むとはあっちだって思わないだろう」

「そうですか」それで済むのだろうか。

「ノエルは今まで通り俺の隣にいて欲しい」

修一郎さんは私の手を握った。

「いてもいいんですか?」

修一郎さんの漆黒の瞳をのぞき込んでみる。

「そう言ってる」

「仕事も今まで通りでいいですか?」

「・・・わかった。いいよ」
私はにっこりと修一郎さんに微笑んだ。

缶ビールからワインに切り替えた。
今度はワインで乾杯をする。

「修一郎さん、お帰りなさい」

にんまりとしてしまう。

「さっきも聞いたけど、なんか、それ、いいな。ノエルに必要とされてる気がする」

「必要としてますよ。いつも」 
ふふっと笑いワインをごくりと飲んでソファーにもたれかかる。

「すっかりこの部屋に馴染んでると思っていたんですけど、3日間修一郎さんがいなかったら、やっぱり違うってわかりました。私の中では部屋も会社も全部修一郎さんとセットになってて」

缶ビールの後のワインで少し酔ってしまったみたい。

喋りすぎているような気がする。

今日は疲れたし、修一郎さんが帰って来てくれて安心して寛ぐことが出来るから飲み過ぎたのかも。

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