フェイク アフェア ~UMAの姫と御曹司~
目が覚めたら、修一郎さんのベッドで修一郎さんに後ろ抱きにされていた。
あ、あれ??
昨夜って・・・。
急いで自分を触る。
あ、昨夜の部屋着のままだ。ナニかをした感じは・・・ない。
キスしたことは覚えている。
ってことはキスしながら・・寝たのか?
で、修一郎さんが自分のベッドに運んでくれたってことなのか、うん、きっとそうなんだろう。
なんて失礼なことしたんだ、私。
やだ、どうしよう。
でも、まだ修一郎さんとそういう関係になる心の準備はできていない。
でも、でもキスしたかったのは本当だし、とろけるほど気持ちよかった。
だけど、そういう関係にはなれそうもない。
かといってセフレになるとかそれも無理だし、ああどうしよう。
そもそももっと早くこういうことは考えるべきじゃなかったのか。
いやいや、もともと偽装婚約だし。
くっくっと後ろで笑い声がした。ばっと振り返ると修一郎さんは目覚めていた。
「おはようノエル、何だか一人でいろいろ反省でもしてた?」
え?何でわかるの?
私は目を丸くした。
「気配だけで伝わるよ」
ウソでしょ。
「ね、昨夜のことは覚えてる?」
昨夜のことって、キスしたことなのか、キスの途中で寝たことなのか・・・。
私は思い出して顔が熱くなった。
「顔が赤くなったね。ああよかった。覚えてるんだ。覚えてないかと思った」
修一郎さんは意地悪く微笑んだ。
「ね、ノエル。おはようのキスして」
「オハヨウゴザイマス」頬にチュッっとした。
「場所が違うんだけど?」
修一郎さんは微笑んだまま自分の唇を指さした。
「ハ、ハードル高くないですか?」
「いや、そうでもないでしょ。昨夜はもっと…」
「わー!もういいです。言わないでー」
私はシーツに潜り込んだ。
あはははと修一郎さんの笑い声がする。
「からかわないで下さいっ」
「ごめん、ごめん。ノエル、顔を出して」
クスクス笑いながらシーツをめくってきた。
「修一郎さんひどい」
「あんまりノエルが可愛かったからつい」
もうっと頬を膨らませてしかめっ面をしたら、私の頬を両手で包んで
「可愛いいノエルが悪い」
と朝から甘いくちづけを落とされてしまった。
今後、これが基準となってしまったらと思うとかなり恐ろしい。
私たちは偽装の婚約者なのに。