フェイク アフェア ~UMAの姫と御曹司~
UMAの姫の心は揺れる
4-1
いつも通り出勤していつも通り仕事をするつもりだった。
出勤するとすぐに修一郎さんと2人で社長室に呼ばれ、行ってみるとお父様から昨日樺山さんに取られた婚約指輪を渡された。
「ノエルちゃん、昨日は大変だったね。辛い思いをさせてしまって本当に申し訳なかった。これはノエルちゃんのものだから、またはめてもらえるかい?」
お父様が頭を下げた。
「お父様。お父様が謝る事じゃありませんよ。お願いですからやめて下さい」
私は慌てて頭を下げるお父様の腕にすがった。
「いや、わが社の社員が大事なノエルちゃんにケガを負わせようとしたんだ。許される事じゃない。もちろん、彼女には責任をとらせるが」
そう言うお父様に困ってしまい修一郎さんの顔を見た。
「今後の事は昨夜も言った通り社長にお任せしますよ。ノエルも俺も今回の事で婚約を破棄するつもりはありませんから安心して下さい」
そう言うと修一郎さんは私を引き寄せた。
「ただ…この指輪はもうノエルにははめたくないな」
「えっ」
私は修一郎さんを見つめた。
やっぱり私はもう修一郎さんの隣にはいられない?
「少しでも他の女がはめた指輪なんて気分が悪い。次のパーティーまでに新しい婚約指輪を買いに行こう」
「そうだな、そうした方がいいだろう。店の予約をしてやろうか」
「いえ、それは自分でやりますから」
父と息子で私とは違う次元の会話が進んでいる。
「あの」
私は話に割り込んだ。
「私はこの指輪で構いませんから。っていうかですね、新しく婚約指輪を買い直すなんて世の中では普通にあり得ません。このままでお願いします」
「何言ってるんだ」
「そんな事無いよ」
父と息子は同時に私に返事をした。
やっぱり親子だ。
それから延々と2人から新しい指輪の必要性を説かれたけれど、私が首を縦に振らず社長と修一郎さんは会議の時間になり話は打ち切りになった。
私は戻ってきた指輪をいつもの場所にはめた。
それは違和感なくそこで光っている。
そう、これにももう慣れてしまっていて、ここにないと落ち着かない。この生活に終わりが来るまでは私のものだ。指輪を見つめて笑みがこぼれた。
出勤するとすぐに修一郎さんと2人で社長室に呼ばれ、行ってみるとお父様から昨日樺山さんに取られた婚約指輪を渡された。
「ノエルちゃん、昨日は大変だったね。辛い思いをさせてしまって本当に申し訳なかった。これはノエルちゃんのものだから、またはめてもらえるかい?」
お父様が頭を下げた。
「お父様。お父様が謝る事じゃありませんよ。お願いですからやめて下さい」
私は慌てて頭を下げるお父様の腕にすがった。
「いや、わが社の社員が大事なノエルちゃんにケガを負わせようとしたんだ。許される事じゃない。もちろん、彼女には責任をとらせるが」
そう言うお父様に困ってしまい修一郎さんの顔を見た。
「今後の事は昨夜も言った通り社長にお任せしますよ。ノエルも俺も今回の事で婚約を破棄するつもりはありませんから安心して下さい」
そう言うと修一郎さんは私を引き寄せた。
「ただ…この指輪はもうノエルにははめたくないな」
「えっ」
私は修一郎さんを見つめた。
やっぱり私はもう修一郎さんの隣にはいられない?
「少しでも他の女がはめた指輪なんて気分が悪い。次のパーティーまでに新しい婚約指輪を買いに行こう」
「そうだな、そうした方がいいだろう。店の予約をしてやろうか」
「いえ、それは自分でやりますから」
父と息子で私とは違う次元の会話が進んでいる。
「あの」
私は話に割り込んだ。
「私はこの指輪で構いませんから。っていうかですね、新しく婚約指輪を買い直すなんて世の中では普通にあり得ません。このままでお願いします」
「何言ってるんだ」
「そんな事無いよ」
父と息子は同時に私に返事をした。
やっぱり親子だ。
それから延々と2人から新しい指輪の必要性を説かれたけれど、私が首を縦に振らず社長と修一郎さんは会議の時間になり話は打ち切りになった。
私は戻ってきた指輪をいつもの場所にはめた。
それは違和感なくそこで光っている。
そう、これにももう慣れてしまっていて、ここにないと落ち着かない。この生活に終わりが来るまでは私のものだ。指輪を見つめて笑みがこぼれた。