フェイク　アフェア　～UMAの姫と御曹司～
玄関の方で物音がした。
修一郎さんが帰って来たらしい。
迎えに出るために立ち上がった。

「やっと帰ってきたのね、あいつ」
愛理さんは渋い顔だ。

「ちょっと行ってきますね」

お出迎えするためにリビングを出て玄関に向かって驚いた。
修一郎さんは１人ではなかった。

若い女性が一緒だった。
修一郎さんは酔っているのか支えられるように女性の肩に体重をかけている。
それにしても二人の顔の距離が近い。

「あなた、誰？どうしてここにいるの」

部屋に私がいるとは思わなかったのか、女性がきつい視線を向け尖った声を出した。

修一郎さんが女性と帰って来たことに驚いた私は声が出せなかった。
女性は更にイライラしたらしい。

「ねえ、修、一体どういうこと？私と過ごすんでしょ？この女誰？」

修一郎さんはかなり酔っているらしく、顔も上げず返事をしない。
女性が修一郎さんを支えきれずよろけると、ずるずると靴を履いたまま玄関に座り込んでしまった。

「修一郎さん、大丈夫ですか」
思わず修一郎さんに駆け寄る。

「修に触らないで！」

きゃっ

女性に突き飛ばされてしまい、廊下で倒れ込んでしまった。運悪く彼女のネイルが私の前腕の内側を引っ掻くように傷つけていった。

「どうしたの？玄関先で騒いで…何！」

物音と私達の声に気付いた愛理さんが廊下に出てきて私に駆け寄った。
私を背中に隠して仁王立ちする。

「わざわざここまで修一郎を送って下さってありがとう。もうお帰り頂ける？」

「あなたは修の何なの」

愛理さんを睨みつけた女性はあくまでも強気だ。




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