家庭教師はヒミツの彼氏
急にそんなこと言われて困ったけど、ちょっと緊張が溶けてきた。
「まずは西暦の空白を、教科書みながら全部埋めていけ」
「はーい」
言われるがまま、私は教科書とにらめっこ。
「ちがうちがう、西暦がまとまって書いてあるところが1番後ろにあるだろ」
「あ、ほんとだ」
大学生なのに、高校生の教科書のことよく知ってるなあ。
「先生って、教科書に詳しいね」
「家庭教師やってれば覚えるだろ」
「え、先生って、他の人にも教えてるの?」
「今はお前だけだ。…前に教えてたやつならたくさんいるけどな」
今は私だけと聞いて、なんだか少し嬉しくなった。
それから2時間ほどで日本史を終わらせた私は、上機嫌。
「日本史が夏休み入った瞬間終わるなんて!こんなこと初めて!」
「俺のおかげだな」
「ありがとう先生!!」
2時間の間で、私と先生は結構打ち解けたと思う。
私、この人に教えられるなら、勉強もっと頑張っちゃう!!
帰る先生を家族で見送り、私はやっとご飯を食べることができた。