オトナの恋は礼儀知らず
 仕事では新しいことを始めようと奮闘していた。

「カラーとパーマの後のマッサージを増やす感じでどうかしら。」

 誰かさんの指摘のおかげで眉間のしわを伸ばすために顔のマッサージに興味を持った。
 それをお店でも取り入れられないかと思い立ったのだ。

「サービスし過ぎじゃないですか?」

 亜里沙はしっかり者で夢の実現になくてはならない存在だ。
 独立する時も、その後も新しいことを始める度に相談しては意見をもらっていた。

「まつげエクステにネイルもサービスから始まったじゃない?」

 やったことのない人には取っ掛かりにくいと言われ、パーマやカラーをした人へのサービスからやり始めた。
 同じようになればというのは甘かったか……。

 亜里沙の苦悩した表情から読み取れば「友恵さん甘いです」ね。

「まずはエステのマッサージを覚えないといけないですね。」

「本当!?亜里沙ありがとう。」

 手を取り喜びを伝える友恵に冷静さを取り戻す一言が落とされた。

「福くんにもちゃんと了承を取って下さいね。
 男性陣にやってもらうのかも相談しなきゃいけないですから。」

 そこのハードルが一番高いのよ。
 分かって言ってるんだから……亜里沙ったら。

 しかも桜川さんからも理香子からも福田くんのことで余計なことを言われ、話しかけにくい気持ちでもあった。
 もちろんそんなわけないと決まっているのだけど。




< 27 / 78 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop