オトナの恋は礼儀知らず
27.答えは
仕事は順調に顔のマッサージの習得をみんなしていってくれている。
そろそろサービスとして提供してみてもいいかもしれない。
メイクを落としてマッサージするのか、そのままするのかを希望を聞いて選んでもらうことにした。
その時に美容師が男の場合は「女性スタッフにも変更できますよ?」と一声かけてもらうことになった。
メイクを落とした人には最後に化粧してあげることにしたのだから、かなりのサービスだ。
早めにサービスから本格始動したいところだけど………。
「おはようございます。」
「おはよ。福田くん早いわね。」
最近は、仕事のことを考えたくて早めにお店に来ていた。
8時出社の桜川さんに合わせてるわけじゃない。
確かに一緒にマンションを出れば途中まで一緒に出勤できるのだけれど。
桜川さんは結婚を決めてから休み以外にも泊まることが多くなった。
今までは次の日が仕事の日だとさすがに遠慮していたと言う桜川さんが意外でやっぱりまだまだ知らないことがあるんだと感慨深くなった。
今まで以上に日々の生活を共にする毎日は考えていたよりもずっと自然で穏やかな幸せがそこにあった。
「また彼氏にもう会いたいって顔してますよ?」
またからかわれてムッとする。
「余計なお世話よ。
福田くんこそ早いじゃない。
どうしたの?」
「相談事があって………。
中で話せますか?
時間は取らせませんので。」
相談?
なんだろう。
エステのことだったら嫌だなぁ。
福田くん容赦ないんだから。
まぁそういう意見が有難いんだけど。
中に入った福田くんが間を空けずに口火を切った。
早く話してしまいたい。そんな雰囲気だった。
「俺、独立しようと思って。」
え…………。
そっか。そうなんだ。
真っ直ぐに見据える福田くんに本気なことが伝わってくる。
「そう。一緒に仕事できなくなるのは残念だわ。
でも頑張って。
福田くんならいいお店が作れるわ。」
「ハハッ。そんなこと初めて言われました。
友恵さん俺のこと認めてないと思ってましたよ。」
少し悔しそうな顔が歪んでいる。
もしかしたら涙を堪えているのかもしれない。
「馬鹿ね。
認めてなきゃここまで一緒にお店やってこれないわよ。
私が辞めるの待つんじゃなくて自分のお店持ちなさいよって思ってたわ。
福田くんならそれができるもの。」
黙ったままの福田くんは引き留めて欲しかったのだろうか。
俯いた顔を上げない。
「………俺が独立して痛くないんですか?
ここの店も困るでしょ?……と思ってるのは俺だけですか?」
あー!もー!
面倒な子ね。
背中をバシバシと激励の意味も込めてたたく。
「福田くん居ないの痛いわよ。
だからって若者の門出を邪魔できないわ。
何人か連れて行きなさい。
私だってそうやって始めたんだから。」
「俺が痛いです。」
背中が?
そりゃたたいてるからね。
「俺…………。
独立する時に言おうと思って………。」
キッと睨むように見つめた福田くんがその表情に似つかわしくないことを口にした。
「俺、友恵さんが好きです。
驚いて眠れなければいい。
ざまーみろ!」
お店の奥に行ってしまった福田くんの背中を呆然と眺めた。
ざまーみろって小学生?
………というか、今の何?
「おはようございまーす。
あれ?店長、顔が固まってますよ?」
早めに出勤して来た新人の子に指摘された。
愛想笑いを浮かべて「気をつけるわ」とよく分からない返事をした。
そろそろサービスとして提供してみてもいいかもしれない。
メイクを落としてマッサージするのか、そのままするのかを希望を聞いて選んでもらうことにした。
その時に美容師が男の場合は「女性スタッフにも変更できますよ?」と一声かけてもらうことになった。
メイクを落とした人には最後に化粧してあげることにしたのだから、かなりのサービスだ。
早めにサービスから本格始動したいところだけど………。
「おはようございます。」
「おはよ。福田くん早いわね。」
最近は、仕事のことを考えたくて早めにお店に来ていた。
8時出社の桜川さんに合わせてるわけじゃない。
確かに一緒にマンションを出れば途中まで一緒に出勤できるのだけれど。
桜川さんは結婚を決めてから休み以外にも泊まることが多くなった。
今までは次の日が仕事の日だとさすがに遠慮していたと言う桜川さんが意外でやっぱりまだまだ知らないことがあるんだと感慨深くなった。
今まで以上に日々の生活を共にする毎日は考えていたよりもずっと自然で穏やかな幸せがそこにあった。
「また彼氏にもう会いたいって顔してますよ?」
またからかわれてムッとする。
「余計なお世話よ。
福田くんこそ早いじゃない。
どうしたの?」
「相談事があって………。
中で話せますか?
時間は取らせませんので。」
相談?
なんだろう。
エステのことだったら嫌だなぁ。
福田くん容赦ないんだから。
まぁそういう意見が有難いんだけど。
中に入った福田くんが間を空けずに口火を切った。
早く話してしまいたい。そんな雰囲気だった。
「俺、独立しようと思って。」
え…………。
そっか。そうなんだ。
真っ直ぐに見据える福田くんに本気なことが伝わってくる。
「そう。一緒に仕事できなくなるのは残念だわ。
でも頑張って。
福田くんならいいお店が作れるわ。」
「ハハッ。そんなこと初めて言われました。
友恵さん俺のこと認めてないと思ってましたよ。」
少し悔しそうな顔が歪んでいる。
もしかしたら涙を堪えているのかもしれない。
「馬鹿ね。
認めてなきゃここまで一緒にお店やってこれないわよ。
私が辞めるの待つんじゃなくて自分のお店持ちなさいよって思ってたわ。
福田くんならそれができるもの。」
黙ったままの福田くんは引き留めて欲しかったのだろうか。
俯いた顔を上げない。
「………俺が独立して痛くないんですか?
ここの店も困るでしょ?……と思ってるのは俺だけですか?」
あー!もー!
面倒な子ね。
背中をバシバシと激励の意味も込めてたたく。
「福田くん居ないの痛いわよ。
だからって若者の門出を邪魔できないわ。
何人か連れて行きなさい。
私だってそうやって始めたんだから。」
「俺が痛いです。」
背中が?
そりゃたたいてるからね。
「俺…………。
独立する時に言おうと思って………。」
キッと睨むように見つめた福田くんがその表情に似つかわしくないことを口にした。
「俺、友恵さんが好きです。
驚いて眠れなければいい。
ざまーみろ!」
お店の奥に行ってしまった福田くんの背中を呆然と眺めた。
ざまーみろって小学生?
………というか、今の何?
「おはようございまーす。
あれ?店長、顔が固まってますよ?」
早めに出勤して来た新人の子に指摘された。
愛想笑いを浮かべて「気をつけるわ」とよく分からない返事をした。