オトナの恋は礼儀知らず

31.残された手紙

　一周忌になっても未だに実感がないままだった。
　ふとした時に浩一さんが現れそうな気さえしていた。

　少しくらい憎んでいた方が良かったのかもしれない。
　愛したままの別れなんて寂しいもの。


　一周忌法要も終わり、みんな帰った後の片付けをしていると手伝ってくれていた舞さんが近くにやって来た。

　２人だけなのを確認してから話し始めた。

「お母さん……いいえ友恵さん。
　驚かないで聞いてください。
　突然なので驚くなと言う方が無理だと思いますけど。」

「ヤダ。何？怖いわ。」

　目を伏せて一呼吸置いた舞さんが告げた。

「私は父と血は繋がってません。」

「え？」

　ザーッと風が騒ぐ音が通り抜けて、心が落ち着かない。

　だって、今なんて？
　前の奥様とは再婚の連れ子なんて聞いてないし……。