私にとって初めての恋。
神楽は家に帰るとすぐに海外へ行ってしまった。
神楽を美陽と悠琉が手を振って見送る。

「いいお母さんだね」
「うん、でも…素直にはなれないかな」
「…知ってたの?」
「当たり前です。家族ですから…」

美陽はスッキリした様子で悠琉の手を取る。

「これからもよろしくお願いします」

美陽が笑って言うと、

「こちらこそ、よろしくお願いします」

悠琉もお辞儀をして言った。
2人は手を繋いで空港を出た。

「美陽、これから用事ある?」

悠琉が美陽に聞く。

「用事はないです、どうかした?」
「これからデートしない?ちゃんと家まで送るから」

美陽は突然の誘いに頭が追い付いていなかった。

「えっと…」
「ダメ?」
「ダメ…じゃないです」

美陽は顔を真っ赤にして俯く。
悠琉はニッと笑って美陽の手を引っ張った。

「どこに行くんですか?」
「美陽には内緒!」

そう言って悠琉はショッピングモールに向かうバスに乗った。
ショッピングモールで美陽の服を一式買う。
たくさんの買い物袋を手にフードコーナーの空いていた席に座った。

「悠琉さん…こんなに買うとは聞いてないです…」

美陽の服・靴・鞄etc…すべてのお金を悠琉が払った。
美陽は膨れっ面でジュースのストローを口にくわえた。

「うん、ごめん。でも俺が選んだ服を美陽に着てほしくて。俺のわがまま」

悠琉は楽しそうに笑って嬉しそうに言った。
美陽はそんな悠琉の表情を見て諦めた。

「でも、こんなに買ったことないから驚きました。…心臓に悪いです」
「うん、ごめんね」

悠琉は美陽の頭に手を伸ばして優しく撫でた。

「じゃあ、またね」
「はい、今日はありがとうございました。おやすみなさい」
「うん、お休み」

美陽は家の玄関の前から悠琉を見送った。
家の中に入って鞄の中から携帯を取り出す。
すると手に紙袋が触れた。

「ん?」

取り出して袋を開ける。

「え…」

中には可愛いピンク色のくまのストラップが入っていた。
それを見透かしたようにメールが届いた。
相手は悠琉だ。

『驚いた?最後のドッキリプレゼント』

という文に画像が添付されていた。
そこには美陽とは色違いの水色のくまのストラップが写っていた。

「…本当に、ずるい」

美陽はお礼のメールを送って家に上がった。
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