私にとって初めての恋。
色々と忙しい春
暦は五月に入って、学校中は体育祭一色に染まった。
美陽も委員会と陸上部の手伝いで、図書室にはしばらく行っていなかった。
美陽は放課後じゃなく、お昼休みに行くようになった。
「あ、次沢さんお久しぶりです」
侑士が椅子に座って休んでいる美陽に気づいた。
「はい、少し休ませてください。友達の部活の手伝いに、委員会…そこに体育祭まで…」
美陽の体力は限界に近付いているようだった。
自分で引き受けたものもあるが、大半は頼まれたものだ。
体育祭の準備は基本、体育委員が仕切る。
しかし、その体育委員のサポートもあり慌ただしい日々が続いていた。
そしてついに束李にも言われた。
「美陽、少し休みなさい。ご飯食べないで作業はダメだよ…」
束李は眠そうな美陽の頭を撫でた。
天気がいいので美陽と束李は屋上に来ていた。
美陽はお弁当を広げたまま、委員の仕事をしていた。
「うん、食べる…けど」
美陽はお弁当に箸を伸ばすが、何も取らずに作業をする。
美陽が作業に集中してるとき、屋上に人が来た。
「あ、本当だ。上田と次沢さんここにいたんだ」
陸上部部長の龍月とサッカー部部長の悠琉が来た。
「あ、先輩方。どうぞ」
束李は2人分の隙間を開ける。
お弁当を囲むように美陽、悠琉、龍月、束李の順で座った。
「で、次沢さん。何してるの?」
龍月は美陽の様子を見て束李に聞いた。
束李は呆れたように説明する。
悠琉は美陽の真剣な姿を見て、少し浮かれているようだった。
束李はそんな悠琉に言った。
「勝谷先輩、ご飯を食べようとしない美陽に食べさせてあげてください。美陽、最近ご飯食べてないって美陽のお母さんから言われたんです」
最近の美陽は作業をしているか図書室にいるかのどちらかだった。
作業でお弁当には手が伸びない、図書室ではもちろん飲食禁止だ。
束李は美陽の前に置いてあるお弁当を指さした。
悠琉はいきなりのことで慌てる。
龍月は慌ててる悠琉をケラケラと笑って、束李は気にせずお弁当を食べ続ける。
悠琉は買ってきたパンをお腹に流し、美陽のお弁当に手を伸ばした。
「ごくり…」
悠琉はご飯を箸で掴んで、美陽の口元に運ぶ。
「あむ、もくもく…」
美陽は気づいていないようだ。
お弁当を食べ終えた束李は肩を震わせて笑い声を抑えた。
「ん…っ!?」
美陽は悠琉と龍月に気づいて、少し離れた。
口の中のものを飲み込んでから言った。
「な、何で先輩達が!?」
美陽は2人がいることに今気づいたようだった。
束李は堪えていた笑い声を上げる。
「ハハハッ。美陽、ずっと作業してるんだもん」
美陽は小さく会釈して元の位置に戻った。
悠琉から箸とお弁当を受け取って自分で食べる。
束李は息をついて美陽に言う。
「ふぅ…、美陽のお母さんに言われたの。ご飯食べないで帰ってくるって、流石にそれはダメだと思う。」
束李の話を美陽はしおらしく聞いた。
「今日から、お昼休みは一緒に食べよう?一生懸命なのはいいけど心配になります」
美陽は崩していた足を正座にして座り直した。
束李は俯いている美陽の頭を撫でた。
「手伝えることがあれば私も手伝うから、無理して当日倒れるっていうのはやめてください」
「はい、以後気をつけます…。束李、心配かけてごめんね。ありがとう」
束李は頷いて、美陽に食べるよう促す。
一部始終を見ていた龍月と悠琉は、嬉しそうに微笑んでいた。
美陽も委員会と陸上部の手伝いで、図書室にはしばらく行っていなかった。
美陽は放課後じゃなく、お昼休みに行くようになった。
「あ、次沢さんお久しぶりです」
侑士が椅子に座って休んでいる美陽に気づいた。
「はい、少し休ませてください。友達の部活の手伝いに、委員会…そこに体育祭まで…」
美陽の体力は限界に近付いているようだった。
自分で引き受けたものもあるが、大半は頼まれたものだ。
体育祭の準備は基本、体育委員が仕切る。
しかし、その体育委員のサポートもあり慌ただしい日々が続いていた。
そしてついに束李にも言われた。
「美陽、少し休みなさい。ご飯食べないで作業はダメだよ…」
束李は眠そうな美陽の頭を撫でた。
天気がいいので美陽と束李は屋上に来ていた。
美陽はお弁当を広げたまま、委員の仕事をしていた。
「うん、食べる…けど」
美陽はお弁当に箸を伸ばすが、何も取らずに作業をする。
美陽が作業に集中してるとき、屋上に人が来た。
「あ、本当だ。上田と次沢さんここにいたんだ」
陸上部部長の龍月とサッカー部部長の悠琉が来た。
「あ、先輩方。どうぞ」
束李は2人分の隙間を開ける。
お弁当を囲むように美陽、悠琉、龍月、束李の順で座った。
「で、次沢さん。何してるの?」
龍月は美陽の様子を見て束李に聞いた。
束李は呆れたように説明する。
悠琉は美陽の真剣な姿を見て、少し浮かれているようだった。
束李はそんな悠琉に言った。
「勝谷先輩、ご飯を食べようとしない美陽に食べさせてあげてください。美陽、最近ご飯食べてないって美陽のお母さんから言われたんです」
最近の美陽は作業をしているか図書室にいるかのどちらかだった。
作業でお弁当には手が伸びない、図書室ではもちろん飲食禁止だ。
束李は美陽の前に置いてあるお弁当を指さした。
悠琉はいきなりのことで慌てる。
龍月は慌ててる悠琉をケラケラと笑って、束李は気にせずお弁当を食べ続ける。
悠琉は買ってきたパンをお腹に流し、美陽のお弁当に手を伸ばした。
「ごくり…」
悠琉はご飯を箸で掴んで、美陽の口元に運ぶ。
「あむ、もくもく…」
美陽は気づいていないようだ。
お弁当を食べ終えた束李は肩を震わせて笑い声を抑えた。
「ん…っ!?」
美陽は悠琉と龍月に気づいて、少し離れた。
口の中のものを飲み込んでから言った。
「な、何で先輩達が!?」
美陽は2人がいることに今気づいたようだった。
束李は堪えていた笑い声を上げる。
「ハハハッ。美陽、ずっと作業してるんだもん」
美陽は小さく会釈して元の位置に戻った。
悠琉から箸とお弁当を受け取って自分で食べる。
束李は息をついて美陽に言う。
「ふぅ…、美陽のお母さんに言われたの。ご飯食べないで帰ってくるって、流石にそれはダメだと思う。」
束李の話を美陽はしおらしく聞いた。
「今日から、お昼休みは一緒に食べよう?一生懸命なのはいいけど心配になります」
美陽は崩していた足を正座にして座り直した。
束李は俯いている美陽の頭を撫でた。
「手伝えることがあれば私も手伝うから、無理して当日倒れるっていうのはやめてください」
「はい、以後気をつけます…。束李、心配かけてごめんね。ありがとう」
束李は頷いて、美陽に食べるよう促す。
一部始終を見ていた龍月と悠琉は、嬉しそうに微笑んでいた。