私にとって初めての恋。

手作りと珍しい客人

束李が作ったものは美陽のより不格好ではあったが、味に問題はない。

「要練習かな」
「大丈夫だよ、見た目より味だから」

美陽と束李が話す向かい側で龍月は黙々と食べていた。

「彼女が作った初めての手料理に何かないの?」

悠琉が黙々と食べ続ける龍月に話しかける。
が、龍月は反応せず。
束李が不安そうな表情で龍月を見つめる。
悠琉は息をつき、美陽は少しのいら立ちを覚えた。

「ご馳走様でした!」

お皿が全て空になり龍月が声を出した。
5、6人分あった料理は龍月がほとんどを平らげてしまった。

「美味かったよ!束李」
「ほ、本当!?」

束李はホッとして胸を撫で下ろした。

「大丈夫って言ったでしょ?」
「でも、黙って食べられたら不安になるでしょ!」
「…まあ、そだね」

束李と美陽がコソコソと話している余所では、龍月がおかわりと叫んでいた。

「お前が全部食ったろ…」

と悠琉は呆れていた。
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