紅い月が離れるとき
…パシャ!!
「柚苗ちゃん,こっち」
…パシャ!!
「上向いて~,そう」
撮影中はすごく楽しい。
自分が雑誌に載るのは
気持ちがいい。
「柚苗ちゃん,お疲れ」
「いいえー♪
サヨナラ,お疲れ様です」
夕方の4時―
病院,行ってみるか。
…ガラ
「暁くん…??」
「お,浅川さん!」
覚えていてくれたことが
すごく嬉しかった。
「柚苗って呼んでよ」
「OK! 俺は,なんでもいいや。
暁でも直也でも」
紅い月…―
「暁って呼ぶ」
「今日は撮影だったり??」
「まあね♪」
あたしのお父さんが
死んだ夜――
紅い月があたしを見ていた。
「暁は,どうして
入院してるの??」