紅い月が離れるとき
「さあて今日は,
"将来の夢"について
語ってもらおうかー!」
「はい!!」
元気よく手を挙げたのは
里菜ちゃん。
「はい,元気いいね~。
箕内(ミウチ)里菜ちゃん?」
「私の夢は,
3年まえから,ユズナさん
みたいになることです!」
ほかの出演者や
関係者の人から
「お―…」と
声があがった。
なんだか,恥ずかしかった。
「ユズナちゃん,
そんなかわいい里菜ちゃんに
ひとこと!」
「ありがとうございます♪
あたしなんかに
負けないモデルになって
くださいね」
「じゃあ,ユズナちゃんに
訊こうかな~?
ユズナちゃんの夢は?」
「あたしの夢……?」
あたしの………。
「このTV出演をきっかけに
ドラマとか,映画とかに出て
有名になりたいです…
って,それはムリかな…?」
「ユズナちゃんなら
大丈夫じゃないかな!!」
「ユズナさんなら
平気ですよっ! ね,礼奈」
「平気ですよ」
1時間ちょいの
収録はすごく短く感じた。
みんな面白くて,
楽しくて……TVだってこと
を忘れてしまいそうだった。