紅い月が離れるとき

「さあて今日は,
"将来の夢"について
語ってもらおうかー!」

「はい!!」

元気よく手を挙げたのは
里菜ちゃん。

「はい,元気いいね~。
箕内(ミウチ)里菜ちゃん?」

「私の夢は,
3年まえから,ユズナさん
みたいになることです!」


ほかの出演者や
関係者の人から
「お―…」と
声があがった。

なんだか,恥ずかしかった。

「ユズナちゃん,
そんなかわいい里菜ちゃんに
ひとこと!」


「ありがとうございます♪
あたしなんかに
負けないモデルになって
くださいね」


「じゃあ,ユズナちゃんに
訊こうかな~?
ユズナちゃんの夢は?」


「あたしの夢……?」


あたしの………。


「このTV出演をきっかけに
ドラマとか,映画とかに出て
有名になりたいです…
って,それはムリかな…?」


「ユズナちゃんなら
大丈夫じゃないかな!!」

「ユズナさんなら
平気ですよっ! ね,礼奈」
「平気ですよ」


1時間ちょいの
収録はすごく短く感じた。

みんな面白くて,
楽しくて……TVだってこと
を忘れてしまいそうだった。


< 35 / 100 >

この作品をシェア

pagetop