紅い月が離れるとき
「でさ,浅葉昌也さん
って知らない?」
あたしは1番の疑問を
解こうとした。
「浅葉昌也って
有名な映画監督さんだよ」
「…映画監督…?」
「うん。わたし,
浅葉さんの映画好きだよ」
「ウチもーッ!」
…そんなに有名な人
だったんだ。
だからなんとなく
聞いたことあったんだ。
「…で? その人がなに?」
「別に,現場にいて,
少し話しただけだよ。
誰だか分かんなくてさ」
「へー,スタジオにいたんだ」
「うん」
話が終わりかかったトキ。
「…ユズナちゃーん?」
「あっ,は――い!
呼ばれてるから行くね」
「この声は,マネージャーだな?」
「うん,そうみたい」