紅い月が離れるとき

「でさ,浅葉昌也さん
って知らない?」

あたしは1番の疑問を
解こうとした。

「浅葉昌也って
有名な映画監督さんだよ」

「…映画監督…?」

「うん。わたし,
浅葉さんの映画好きだよ」

「ウチもーッ!」


…そんなに有名な人
だったんだ。

だからなんとなく
聞いたことあったんだ。


「…で? その人がなに?」

「別に,現場にいて,
少し話しただけだよ。
誰だか分かんなくてさ」

「へー,スタジオにいたんだ」

「うん」


話が終わりかかったトキ。


「…ユズナちゃーん?」

「あっ,は――い!
呼ばれてるから行くね」

「この声は,マネージャーだな?」

「うん,そうみたい」



< 44 / 100 >

この作品をシェア

pagetop