紅い月が離れるとき

「あなた,撮影のトキ
『ドラマとか映画とかに
いっぱい出て有名に
なりたいです』てきな
コト言ったンだって?」


もしかして,
言っちゃいけなかった?
怒れるの…?


「は…はい」

「…よく言ったわ!!
そのおかげでドラマ出られる
のよ!!」


言って―よかったんだ。
ひと安心…。


「なんでも,
主人公の親友役を
してほしいんだって」

「……ふーん」

「栞菜(かんな)って
知ってるよね?
いまやってる映画にも
出てる子」

「うん,知ってる」

「もともとあの子が
やる役だったンだけど,
急にダメになっちゃって…
で,かわりを探してた
んだって」

「…やって,
みようかな?」



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