紅い月が離れるとき
「…う……」
暁の声。
苦しそうにやっと出た言葉。
「あ…暁っ!!?」
背筋に汗がにじむ。
反射的に顔を上げて
暁を見たあたしが捕らえた
のは,苦しむ暁。
顔が歪んで,瞳が涙ぐむ。
「やだっ…暁ぃ……!!」
「う……っ」
暁は,あたしの言葉に
答えることも出来ないで
ベッドの上でひとり
苦しんでいた。
あたしはなにをすればいいのか
全然わからなくって,
とにかくパニックになっていた。
「暁のバカっ!!
治療しないからこうなるんだ!
なんで生きようとしないの!?」
こんなトキに言ってどうする…?
聞こえてるワケ…ないのに。
涙がポタポタ…と落ちた。
もうお終い?
あたしの初恋,これで終わり?
暁は,死んじゃうの…?
ぼやけた視界にひとつ,
暁の命を繋ぐ,
なくてはならない
ものがあった。
――ナースコール!!!
そうだ,ナースコールしなきゃ!!