紅い月が離れるとき


キモチが落ち着いてから,
なにかおかしいのに
気付いた。


「…暁,手ぇ熱いよっ!?」


「あ~,熱あっから」


暁の額に手を当てると,
正確な体温までは
わからないものの,
高熱があるってことは
分かった。


「大丈夫なの…?」


「慣れてるからね」


……いつも,出てるんだ。


だからって,辛くないワケない!


「暁,あたし帰るね」


「こんな遅く――平気か?」


「暁は自分のコトだけ心配して。
じゃあね」


あたしがいたら,
話しちゃうもん…。


あたしがいたら,
眠れないもん…。


とにかく,あたしがいたら,
熱が上がっちゃうから。


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