紅い月が離れるとき
その夜は暁のことが心配で
あんまり眠れなかった。
その日の撮影も
危うかった。
「ユズナちゃん,上向いて~。
…ユズナちゃん?」
「zzz…」
「ユズナちゃ――んっ(呆)!!」
……て。
「ユズナ,どうした?」
「センパイ…?
なんでもないですよ?」
「……そっか?」
誰にも,暁のことは
言ってなかったから,
相談する相手がいなかった。
――どうすれば…イイのかな?
その日もあたしは
病院へ向かった。
暁のお見舞いに,
励ましに,会いに。
きっと,気をつかって
病院に行かない方が
暁は心配すると思ったから。